「作業員は放っておいては怠けてしまう。だから私が彼らの尻を蹴り上げることによって働かせることが仕事なのだ。彼らを追い詰め苦しめるまで働かせることができて初めて一人前の管理者といえる。」このような考えをもつ管理者の下で働く作業員はたまったものではない。しかし、経営者はこれを歓迎するかもしれない。最終的には自分の首をしめるとも知らずに・・。
本来、生産性とは一時間あたりどれだけ多くのものを作れるか、ということであるべきなのに、現実には、一時間あたりの賃金からどれだけ多くのものを搾り取るか、という意味にゆがめられていることが多い。 (29,30p)
残業とは全力疾走である。短期間では有効であるかもしれない。しかし、恒常的に続けば何の意味もない。何時間もの薄められた生産性の低い時間が必要になるだけである。薄められた時間で埋め合わせができない、きわめてまじめな人が仕事中毒にかかる。何百時間もの間働き続け、自分の生活を犠牲にしつづける。しかし、その後に、おそらくその人は永遠にいなくなってしまう。「燃え尽きる」のだ。
(ある管理者は、)プロジェクトが大苦戦に陥ったとき、それが部下に与えた影響について話し始めた。まず二件の離婚騒ぎが起きたが、その直接的な原因は部下の異常な残業にあった。また、ある部下の子供は、マリファナで問題を起こした。おそらく、忙しくて父親らしいことをしてやれなかったからだろう。(中略)
「大変な事件ばかり続きましてね」といってはいるが、その実、自慢話をしていることに私は気づいた。 (38p)
部下が不幸になればなるほど、部下をプレッシャーで追い込めば追い込むほど有能な管理者だと思っている。極論すれば、死んだってかまわないと思っているかもしれない。作業員はなにもこんな管理者のために死ぬことなどない。こんな管理者など仮にあなたが死んでも悲しんではくれないだろうし、後悔などしてくれないだろう。だから、このような兆候が見られたら何もいわずに辞めるのが正解である。彼らは止めるかもしれないが、あまり甘い顔を見せないほうがよい。
少しペースをおとしたらどうだい?
受話器を外したままで
しばらく姿を消してみるんだ
一日や二日いなくったって
別にどうってことないだろう?
いつになったら気がつくんだい?・・・・
ウィーンは君を待っている
「Vienna」 Billy Joel (山本安見訳)
(42,41p)
このような作業員を搾り取るような、奴隷貿易で儲けたスペインのような管理をしていると、大きなつけがまわってくる。作業者の退職と、品質の低い雑な成果物である。少し考えればすぐにわかることである。そのような態度を示せば他にいくらでも仕事のある有能な人材はすぐにやめてしまうだろう。それが管理者にはわかっていないようだ。
いや、わかっているのかもしれない。より経験の浅いまたは無能な人材の中で人を叱り付けることによって、管理に対する自信のなさを隠して威張っていたいのかもしれない。なるほど、そうなるとむしろ有能な人材は目障りである。
きみにはちゃんとわかっているんだね。
人生にはほしいものを手に入れるか
年をとるのを待つか
この二種類しかないということを。
だけどその調子じゃ
やりたいことの半分もいかないうちに
死んでしまうことになるよ
いつになったら気がつくんだい
ウィーンは君をまっている。
「Vienna」 Billy Joel (山本安見訳)
(40,41p)
ウィーンとは「人生の終着駅」である。誰でもそれはやってくる。馬鹿馬鹿しい仕事をやっているうちに、あなたのやりたかったことは、なにもできないかもしれない。人生はかけがえのない、とても短いものなのだから。
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